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What happened ?で、「何かあったの」「どうしたの」という風に使う。 これが、少しだけ口語的に崩れると。
What's up?「どうした。 何かあったのか」という風に使う。
What's the matter with you ? は、私たちの多くが、中学校の教科書で(さる出版社のテキストで)、ラフカディオ・バーン(K)著『怪談』(クワイダン'Kwaidan')の中の、「のっぺらぼう」の話の中で出てきたものだ。 あのときの、異常な事態の中で使われて当然なのが、この表現だった。
それを、文部省も教科書会社も、現場の教師の皆さんも。 ここから例文として採用し、みんな自覚もなしに、何十年も「一体、どうしたの、何があったの」は、What isthe matter with you ? だと思って、私たちに教えつづけたのだった。
あるコトバが話される周囲の状況、あるいは、文脈contextというものを無視した上でなされる外国語教育のオソロシサというものを私たちは深刻に考えねばならなくなった。 日本国民だけが習い、かつ、英語世界で使うと、ヘンな顔をされる基本英文につき、ここで10だけ挙げて説明を加えよう。
これらは、日本の英語公教育の中で訂正を必要とする用例のうちのほんの一部であって、私が、今、思いつくままに、せめて、これぐらいは緊急に訂正すべきだと考えるものだ。 英文を、ふつうのアメリカ人・イギリス人の前で使ったら、あなたは、相手から、ポカンという顔をされるだろう。
「何だ、オマエは、日本の名門貴族の出なのか。 爵位でも持っているのか」この表現を使っていいのは、日本では、雅子妃、紀子妃レペルの人たちである。
あとの人間は、使ってはならない。 It's kind of you to……にもはや、歴史上の雅語に入れられている表現である。
したがって、正しく訳すなら、「御来駕の儀、まことにかたじけなく候(そうろう)」とか「お目にかかれて嬉しう存じます」ぐらいの感じである。 つまり、私たちが使えば時代劇になるということだ。

このIt's kind of you to……のような英語は、映画『ローマの休日』'Roman Holiday' (W・W監督)の中で使われていたコトバだ。 ある小国の王女に扮したAがそのように、優雅にしゃべっていた。
その上うなヨーロッパ貴族の優雅さの伝統という背景抜きで、日本人が、明治時代の学校で習った(今でも教え続けているが)そのままに、これを英語国民の前で使うなどとんでもないことである。 ただ、とんでもないと自分で気づかずに、そのまま堂々と振る舞い続けるなら、それはそれで大したものだろう。
「大した度胸の日本人、ここに在り」だ。 'Ignorance is bliss' 「無知は至福なり」(気づかないで知らないままでいることが、一番の幸せだ)である。
ところが、これを少し変えただけで、It's nice of you to comeの方は、よく使うし、キレイな表現である。 それでは、ふつうに「来ていただいてありがとう」は、どう言うのかというと、Thank you for coming overと言うのである。
あるいは、もっと気軽には、It's very good to see you「やあ、お久しぶり」でいい。 最近、入学試験に採用している大学が増えているのが、このhearing test 「ヒアリング・テスト」である。
これは、正しく日本語に訳すと「聴覚能力検査」という意味である。 このつもりで使っているのなら、正しいのだが。
Do you hear me ?「さあ、私の言うことが聞こえますか」という意味なのである。 このhearは、「lhear you を訳してみよう」のところでやったとおり、「聴く」ではなく「聞こえる」である。

すなわち、「音が向こうの方から、耳の中に入ってくる」という意味だから、「あなたの耳は聴こえますか」「あなたは、聴覚能力がありますか」と聞いているのである。 したがって、この「ヒアリング・テスト」という、メチャクチャな日本英語業界語は、正しくは、「リスニング・コンプリペンション」 listening comprehension と言わなければならない。
これが「聴覚からの英語文の内容把握力・理解力のテスト」のことである。 リスニング・コンプリペンションと言わなければ、絶対に。
間違いだ!英語教育業界で日常平気で使っている英語外来語らしきカタカナ語のうち、2000語ぐらいは、すべて、訂正しなければいけない。 「外来語という日本語」なのだから、すでに日本語化しているからいいのだ、というのは、単なる居直りでしかない。
たとえば、X my home papa 「マイ・ホーム・パパ」というのがあるが、これはa family manが正しい。 だから「ファミリー・マン」と言い替えなければならない。
これぐらいは、すぐやるべきだ。 やって誰かが困ることではない。
最近、『日本人英語でOK』というような本が出版されている。 その主旨は、現行のオカシナ日本語英語に少し手を加えれば、正しい英語として通用するというものであるから、私は異議は唱えない。
が、しかし、基本的な、造文上の決定的誤りについては、やはり、きちんとどこかで、みんなで訂正しなければならない。 speak ill of (スピーク・イル・オヴ)についてこれを、私たちは「~の悪口を言う」だと習ったし、そう思い込んでいる。
これを、「~の陰口をたたく」と訂正すればまだましではある。 ところが、このspeak ill of ~は、もう英語圏では使わなくなりつつある。
ふつうに、『の悪口を言う』は何と言うかというと、He often says bad things about her「彼は。 しょっちゅう彼女の悪口を言っている」のように、say bad things about+のと言う。
あるいは、= He often criticizes herのようにcriticize+で使う。 このcriticizeという動詞を、「批判する」と覚え込んでいる日本人は、これが「誰々の悪口を言う」と同じことなのだということを知らない。
そう言われれば、そうなのだが、言われてはじめて分かるのである。 ついでに、この「しょっちゅう」「しばしば」を意味するoftenだが、アメリカ人は「オフン」と発声し、イギリス人は「オフトン」と発声する。

英米で発声が違う音だと言えば、それで済むことなのだが、実は、アメリカ人でも、oftenのtを発声する人々が増えており、「オフトン」と言うようになって来ている。 このへんのことは、実は、もっと細かく、「英米音の違い」として、日本人向けに書かれた本を出版すべきなのである。
イギリス人とアメリカ人の間では、双方の言語学者が、語法だけでなく発声の違いを巡って、それこそ殴り合いのケンカのような学者論文や一般啓蒙書が何十冊も出版されて、よく読まれている。 ちなみにカナダは、英連邦(The Commonwealth, ザ・コモンウェルス)のファミリーなので、イギリス音に近く、カナダ人は「オフトン」と発声する人が多いということもある。

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